※この記事は、前回の記事の続きです。
▶︎ 前回:夜勤で吐き気に耐えながら働いていた話【看護師リアル体験談】
異動が決まった時、正直ほっとした
夜勤がつらく、体調を崩すことが増えていた私にとって、
手術室への異動が決まった時は、正直「助かった」という気持ちが一番でした。
やっと夜勤から解放される。
これで体調も落ち着くかもしれない。
一方で、不安も同時にありました。
夜勤手当がなくなって給料が下がること。
夜勤がない分日勤で5連勤になるけど、それはそれで体力的にきついんじゃないかということ。
期待と不安が入り混じった状態で、私は手術室での勤務をスタートしました。
実際に働き始めて感じた「楽になった部分」
実際に働き始めてみると、生活は大きく変わりました。
夜勤がない。
生活リズムが整う。
前残業も後残業もほとんどない。
給料は確かに下がりましたが、
病棟時代は前残業30〜45分、後残業1〜2時間が当たり前だった私にとって、
給料の発生しない残業がなく定時に帰れることは天国のようでしたし、
健康面とワークライフバランスは明らかに良くなりました。
「これでやっと、普通に働ける看護師になれるかも」
そんな期待を、自然と抱くようになっていました。
「ここなら続けられる」と思った理由
手術室は、病棟とはまったく違う世界でした。
患者さんとの関わりは病棟に比べると短く、
緊急手術やトラブルがなければ、業務は比較的スケジュール通りに進みます。
日勤のみという勤務形態が体への負担が少なかったことはもちろんですが、
それ以上に「自分の性格に合っている」と感じる場面が多くありました。
私は、患者さんとの関わりや感謝を言われることにやりがいを感じるタイプではありませんでした。
手術中は笑顔を作る必要もなく、
淡々と医師に器具を渡し、手術が滞りなく進むよう黙々と仕事をする。
そのスタイルが、驚くほど自分に合っていたのです。
また、病棟では感じにくかった「成長」を、
手術室でははっきり実感できました。
新しい手術に入れるようになったり、
機械出しで医師が言う前に必要な器具を渡せたり。
病棟では患者さんから感謝の言葉をいただくことがありましたが、
手術室ではそれは多くありません。
それでも、「できることが増えている」という感覚が、仕事を楽しくしてくれました。
「もしかしたら、ここは私に合っている場所なのかもしれない」
「看護師としての天職に出会えたのかも」
本気で、そう思っていました。
手術室では
「看護師の仕事が好きだ」
とも思いました。
異動してすぐ、師長から「期待してるよ」と言われ、
その期待に応えたい一心で、前向きに仕事に取り組んでいました。
それでも、少しずつ狂っていった
ただ、手術室の仕事は決して「楽」ではありませんでした。
最初は先輩について手術の見学。
次は付き添ってもらいながら実施。
そして独り立ち。
この流れで、次々と新しい手術に入るようになります。
病棟では、担当科の疾患を中心に勉強していました。
でも手術室では、全ての科の手術を扱います。
消化器、呼吸器、脳神経、整形、循環器…。
解剖生理、疾患、手術の流れ、使用する薬剤や器具、手術中の患者管理。
オペ看向けの本や雑誌だけでなく、
外科医師向けの分厚い専門書まで購入しました。
(正直、かなり高かったです。)
医師のアシストを完璧にするには、
医師がどんな手順で手術を進めるのかを理解していなければならない。
そう思い、ひたすら勉強しました。
最初のうちは、それでもなんとかなっていました。
でも、次第に新しい手術のペースが早くなり、
勉強が追いつかなくなっていきました。
新しい心臓外科の手術に入る前日、
先輩が手術について注意点を教えてくれている中で、
私が知らない内容がありました。
「勉強が足りてない」
「手術に入るならきっと知ってて当たり前のことなのに」
「私、何やってるんだろう」
情けなくなって、その場で泣いてしまったことがあります。
先輩はただ「知ってる?」と聞いただけで、責めたり怒ったりしていたわけではなかったのに、です。
環境は良かった。それでも苦しかった
大きなトラブルがあったわけでも、
人間関係が極端に悪いわけでもない。
残業はほぼない。
同僚は優しい人が多い。
医師も、怒鳴る人はほとんどおらず、穏やかな空気で手術が行われていました。
今思えば、とても恵まれた環境だったと思います。
それでも私は、
「期待に応えなきゃ」
「できない人だと思われたくない」
そんな気持ちから、自分で自分に強いプレッシャーをかけていました。
必死に勉強し、手術ではそつなくこなす。
周りから見れば「問題なくやれている人」。
だからこそ、
「大丈夫そうだから、次のオペに進もう」となり、
さらに勉強しなければいけないことが増えていく。
気づけば、
頑張る → 期待される → さらに頑張る
このループから抜け出せなくなっていました。
だんだんと、仕事に行きたくないと思う日が増えていきました。
「病棟から異動して、環境は良くなったはずなのに」
「手術室の仕事が好きだと思ったのに、どうしてもこんなに辛いんだろう」
そう思う自分が、そこにいました。
環境が変わっても消えない「つらい」という気持ち
異動すれば、すべて解決すると思っていました。
でも、そうではありませんでした。
環境は確かに良くなりました。
夜勤もなくなり、生活リズムも整った。
人間関係にも大きな問題はなかった。
それでも、
「つらい」
という気持ちは、理由を変えて変わらず存在しました。
この違和感を無視し続けた結果、
私は少しずつ、
心と体の限界に近づいていくことになります。
次の記事では、
このあと私がどんな状態になり、
どんなきっかけで
「もう無理かもしれない」
と思うようになったのかを、
正直に書いていこうと思います。
今、悩んでいるあなたへ
もしあなたが今、
「異動すれば変わるかも」
「ここを乗り越えたら楽になるかも」
そう思いながら働いているなら、
その選択は決して間違いではありません。
でも、異動しても苦しさが残ることがあるのも事実です。
辞めたい気持ちが消えない自分を、
どうか責めないでください。
▶︎次回:看護師が手術室で涙が止まらなくなった話【看護師リアル体験談】
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