病院を離れた看護師が、コロナ自宅療養者コールセンターで感じたこと【体験談】

ヤメ看体験談

病院以外で、どうやって看護師として働いたらいいんだろうと思っていました。

でも実際は、病院の外にも「看護師だからこそできる仕事」がありました。

コロナ禍での仕事探し

病院を辞めた直後、世の中はコロナ禍の真っ只中でした。

空港検疫の期間職員を終えた後もまだまだコロナが落ち着く気配もなく、

ワーキングホリデーに行くまでのつなぎとして

看護師として正規雇用以外で働く道を探していました。

そんな中で目にしたのが、メディカルコンシェルジュという転職支援会社で募集していた

「コロナ自宅療養者を支援するコールセンター」での看護師業務でした。

病院ではない。

ベッドサイドにも立たない。

でも「今、絶対に必要とされている仕事」だと思いました。

正社員ではないので週何日働くか、いつからいつまで働くかも自由に決められるのも魅力で応募しました。

コールセンターの役割

治療はしない、でも“判断”と“支え”はある

コロナ自宅療養者コールセンターでの看護師の役割は、

病院とはまったく違いました。

  • 医療行為はしない
  • 診断もしない
  • 薬を出すこともできない

その代わりにあるのが、

情報を聞き取り、状況を整理し、必要な支援につなぐ役割です。

体調の変化を言葉で受け取り、

「今すぐ対応が必要か」「経過観察でよいか」

判断の補助を行う。

必要があれば療養者の住んでいる地域の医師につなげる。

そして何より大きいのが、

不安の受け皿になることでした。

発熱や息苦しさだけでなく、

「このまま悪化したらどうしよう」

「一人で自宅にいるのが怖い」

そんな声を、電話越しに受け止めることがたくさんありました。

役割自体はシンプルでしたが、

実際に働いてみると病院とはまったく違う難しさがありました。

病院との決定的な違い

触れない看護、声だけの情報

病院との一番の違いは、相手に触れられない・見えないことでした。

表情も見えない。

バイタルサインも分からない。

触診も視診もできない。

頼れるのは、

  • 本人の言葉
  • 電話で聞こえる息づかい
  • 話し方の変化

「なんとなくおかしい」という直感を、

数値やモニターで裏付けることはできません。

それでも判断を求められる。

この責任の質の違いは、想像以上に重いものでした。

病院では「手を動かせばできること」がある。

でもコールセンターではできないことを前提に関わる。

この感覚は、最初かなり戸惑いました。

しんどかったこと

客観的情報をとる難しさ

医療従事者ではない電話越しの人に、

可能な限りでバイタルサインを測ってもらったりチアノーゼの有無を確認してもらうなど、

主観的な情報に加えて客観的な情報をとるのは最初は簡単ではありませんでした。

病院では観察と機械を使って一発でわかっていたことがわからないもどかしさ、

症状が軽い人を病院には案内できないコロナ禍の医療機関逼迫状況、

でも軽く見積もると命に関わるというプレッシャー。

これらは病院とはまた違うしんどさがありました。

感情労働と、どうにもならない無力感

一番しんどかったのは、感情を受け止め続けることでした。

不安、恐怖、怒り、孤独。

電話の向こうには、誰にも会えず自宅に閉じこもっている人がいる。

不安から泣き出してしまう人、

恐怖から怒り出す人。

どちらもコロナという未知のウイルスと戦っている恐怖ゆえのものでした。

話を聞くことや、国が発表していること・感染症に関する一般的なことで解決できる疑問には答えられるけれど、

「大丈夫ですよ」と言いたくても、無責任な言葉は使えない。

「頑張ってください」も、簡単には言えない。

できることと、できないことの線引き。

その境界線に立ち続けるのは想像以上に消耗しました。

中には「いのちの電話」に繋いだほうがいいような人もいました。

私の対応ひとつで取り返しのつかないことになるかもしれないというプレッシャーもあり、

助けたい気持ちがあっても、物理的に何もできない場面もある。

その無力感は、病院とはまた違う形で心に残りました。

それでも「看護師でよかった」と思えた瞬間

技術より、積み重ねてきた姿勢

それでも、

「看護師として役に立てている」と思える瞬間は、確かにありました。

相手の話を遮らずに聞くこと。

症状だけでなく、背景を想像すること。

不安の正体を一緒に整理すること。

これらは、病院で看護師として働く中で身につけてきたものです。

注射や処置ができなくても、

看護師としての姿勢そのものは確実に役に立っていました。

「あなたと話せて少し落ち着きました」

その一言で救われた日もあります。

顔が見えない電話だからこそ、安心感を与える口調や声で話すことの大切さ、

電話越しでも誰かの役に立つことはできるんだと実感しました。

この経験が今につながっていること

「病院=看護師」じゃなかった

この経験を通して、

私の中で大きく変わった考えがあります。

それは、看護師の働き方は病院だけじゃないということ。

病院を離れたら、看護師としての価値が低くなると思っていました。

でも実際は、場所が変わっただけでした。

直接ケアしなくても、白衣を着なくても、病棟にいなくても、

看護師としてできることは、確かにあります。

この経験があったからこそ、

働き方を「一つ」に決めなくていいと思えるようになりました。

おわりに

病院を辞めた直後の私は、

病院以外で何ができるんだろうと思っていました。

でも、病院の外に出て初めて見えた世界があります。

看護師としてできることは、医療処置だけではありません。

もし今、

「病院がつらい」

「でも辞めたら終わりかもしれない」

そう感じている看護師がいたら伝えたいです。

病院を離れることは、看護師を辞めることとイコールじゃない。

この事実だけでも、どこかで思い出してもらえたら嬉しいです。

今回私が利用したメディカルコンシェルジュのホームページでは、

病院やクリニック以外の看護師求人も多数掲載されています。

「今すぐ転職するつもりはないけど、選択肢は知っておきたい」という人や、

今病院でつらい思いをしている人に、「こんな選択肢もあるんだ」「病院だけが全てじゃない」と知ってほしいです。

登録後は不必要にたくさんの電話はありませんので、登録して情報を見るだけで大丈夫です。

じっくり自分のペースで求人を探すことができます。

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