看護師が退職するとき、意外と見落としがちなのが事務手続きです。
退職そのものはできても、
- 必要な書類がいつ届くかわからない
- 保険の切り替えが遅れて無保険期間ができた
- 税金やお金の手続きで思わぬ出費が発生した
というケースは、実はかなり多くあります。
特に看護師は、
夜勤・不規則勤務・人手不足の中で辞めることが多く、
「とにかく辞めること」に意識が向きがちです。
でも、退職後に困らないためには
辞める前〜辞めた直後の事務手続きをきちんと確認することは必須です。
この記事では、
退職前〜退職後に必ず確認しておきたい事務手続きを
チェックリスト形式+理由つきでまとめました。
「もう限界」「一刻も早く辞めたい」状態の人ほど、
最低限ここだけは押さえてから動いてください。
【STEP1】退職前に必ず確認すること(在職中)
□ 就業規則を確認する
まず最初にやるべきことは、就業規則の確認です。
特にチェックしたいポイントは以下です。
- 退職の申し出期限(1か月前/3か月前など)
- 有給休暇の扱い
- ボーナスの支給要件
- 奨学金・違約金の有無
- 貸与物(制服・名札・ロッカー・PHSなど)
「就業規則なんて見たことない」という人も多いですが、
退職に関するルールはほぼすべてここに書いてあります。
師長や上司の言葉よりも、
最終的に基準になるのは就業規則です。
あとから
「そんな決まりだったとは知らなかった」
と言っても通用しません。
退職交渉を“感情”ではなく“ルール”で進めるための土台となるので、
確認しておいて損はありません。
□ 有給休暇の残日数を正確に把握する
退職を考え始めたら、必ず確認したいのが有給の残日数です。
「たぶん〇日くらい残ってる」という感覚でとるのではなく、きちんと確認して取れる分の日数を取りましょう。
実際には、
- もう失効している分があった
- 付与前だと思っていたら、すでに付与されていた
- 管理方法がずさんでズレていた
というケースもあります。
⚠️有給付与日を“またぐ退職”の落とし穴
ここで多くの人がやってしまいがちなミスがあります。
たとえば、こんなケース👇
- 有給付与日:4月1日
- 退職の意思を伝えた日:2月
- 退職日:4月30日
- 実際に消化できる有給:4月1日以降に付与される分も含まれる
この場合、退職を決めた時点では有給が少なく見えていても、
退職日が有給付与日を過ぎていれば、
新しく付与された有給も消化対象になります。
にもかかわらず、
「もう辞めるから、新しく付く有給は使えないと思っていた」
「実際に使える日数より少ない日数で有給申請してしまった」
というケースも。
これは完全にもったいないパターンなので、
退職日時点での有給が何日あるかを確認しましょう。
ポイント:有給は「在籍していれば付与される」
有給休暇は、退職を決めているとしても
付与日に在籍していれば付与されます。
つまり、
有給付与日より前に退職を決めていても
有給付与日当日に在籍していれば
その有給は正式に付与され、消化する権利があります。
実際に確認すべき3つのポイント
有給残日数を確認する際は、
以下をセットでチェックしてください。
- 現在の有給残日数
- 次回の有給付与日
- 付与予定日数(フル付与か、比例付与か)
特に、
- 勤続年数が増えるタイミング
- 退職を申し出た日と退職日が付与日を跨ぐ場合
このあたりは計算ミス・思い込みが起きやすいので注意しましょう。
有給申請前にやってほしいこと
有給消化のスケジュールを出す前に、
「私の場合、退職日までに使える有給は何日になりますか?」
と、人事・労務・事務に具体的に確認するのが安全です。
口頭だけでなくメールやメモなど、記録が残る形で聞いておくと安心です。
👇有給消化については別記事で詳しく解説
看護師のための退職時有給休暇消化ガイド
□ ボーナス(賞与)の支給条件を必ず確認する
退職前に意外と見落とされがちで、金額インパクトが大きいのが
「ボーナス(賞与)の扱い」です。
病院によっては数十万円単位で差が出ることも珍しくありません。
「あと1週間在籍していればボーナス出た」
「有給消化=対象外だと思って諦めた」
「退職日を早めすぎて数十万円逃した」
ということになると非常にもったいないです。
退職を決めたあとでも、
退職日を調整するだけで受け取れるケースは多いです。
「知らなかった」で損をするのは、あなたです。
損しないために、きちんと確認しましょう。
特に確認しておきたいのは、次の3点です。
① ボーナスの「支給日在籍要件」
まず最重要なのが、
支給日に在籍していることが条件かどうかです。
多くの病院では
「◯月◯日の賞与支給日に在籍している者」と定められています。
この場合、
有給消化中で実際に出勤していなくても、
在籍していれば支給対象になるケースがほとんどです。
つまり「最終出勤日はボーナス前でも、退職日はボーナス後」
というスケジュールが組める可能性があります。
② 「出勤実績」が条件に含まれていないか
一方で、病院によっては
- 査定期間中の出勤率
- 欠勤・休職日数
- 有給消化の扱い
が賞与額に影響する場合もあります。
特に注意したいのが、
- 休職期間がある
- 病休が長かった
- 無給の休みがある
こうしたケースでは
減額対象になる可能性があります。
※ただし、有給休暇は「出勤扱い」になることがほとんどなので、
有給消化中だからボーナスがゼロになるということは通常ありません。
③ 退職予定者は支給対象外と書かれていないか
まれに就業規則や賞与規程に、
「退職予定者は支給しない」
と書かれている病院もあります。
ただしこの場合も、
- いつから「退職予定」と判断されるのか
- 退職届提出時点なのか
- 支給日時点なのか
解釈が分かれることが多く、グレーゾーンです。
判断に迷う場合は、
- 就業規則
- 賞与規程
を元に人事・総務への確認をしてみてください。
□ 退職日と「最終出勤日」を分けて考える
これは退職時有給消化する人は混乱しやすいところですが、かなり重要です。
- 最終出勤日:実際に職場に行く最後の日
- 退職日:有給消化後、在籍が終了する日
この2つは同じではありません。
例えば、
最終出勤日が3月31日でも、
有給消化が4月末まであれば、
退職日は4月30日になります。
この違いを理解していないと、
- 保険の切り替え時期を間違える
- 失業保険の手続きが遅れる
- 書類の発行日で混乱する
といったトラブルにつながります。
最終出勤日・退職日は共にカレンダーに書いておいて混同しないようにしましょう。
【STEP2】退職時にもらう書類チェックリスト
退職時には、以下の書類を
必ず受け取る or 後日郵送されるか確認してください。
□ 離職票(1・2)
離職票は、
失業保険(基本手当)を申請するために必要な書類です。
退職するすべての人に自動で必要になるわけではありませんが、
- 次の職場が決まっていない
- 退職後、しばらく働かない
- 失業保険を受給する可能性がある
このどれかに当てはまる人は、必ず関係する書類です。
離職票は何に使う?
離職票の役割は
「なぜ・いつ・どんな条件で会社を辞めたのか」をハローワークが判断するための書類です。
これを元に、
- 失業保険をもらえるか
- いつからもらえるか
- どれくらいの期間もらえるか
が決まります。
離職票が必要になるのはどんな人?
以下に当てはまる人は、ほぼ確実に必要です。
- 退職後すぐに転職しない
- 転職先が決まっていない
- 一度失業保険を受給してから再就職したい
逆に、
- 退職翌日から次の職場に就職する
- 失業保険を使わない
場合は、必ずしも必要ではありません。
ただし、
「使うかどうか迷っている」場合は、
念のため発行してもらうのが正解です。
離職票は2種類ある(1と2)
離職票は、
- 離職票−1
- 離職票−2
で構成されています。
離職票−1
- 雇用保険の加入期間
- 被保険者番号
- 離職年月日
- 賃金支払状況
など、事実関係が記載されています。
離職票−2(超重要)
退職理由が記載されており、
失業保険の金額・給付開始時期に直結します。
特に
- 自己都合退職か
- 会社都合退職か
の判断材料になるため、内容確認は必須です。
退職理由は必ずチェックする
病院側が記載した退職理由があなたの認識と違うケースがあります。
退職理由によって、
- 給付開始までの待機期間
- 給付日数
が大きく変わります。
納得できない内容の場合は、ハローワークで修正を申し出ることができるので、
必ず目を通しましょう。
いつ・どうやってもらえる?
離職票は多くの場合、
退職後10日〜2週間程度、郵送で届きます。
退職前に、
「離職票は発行してもらえますか?」
「いつ頃、どの住所に届きますか?」
と確認しておくと安心です。
すぐ転職する予定でも、もらっておくのが無難です。
□ 源泉徴収票
源泉徴収票は、
「その年に、いくら給料をもらって、いくら税金を払ったか」
を証明する、とても重要な書類です。
退職時に必ず受け取るべき書類のひとつで、
これがないとお金の手続きがスムーズに進みません。
源泉徴収票の主な用途は以下の4つです。
① 転職先での年末調整に使う
年内(1〜12月)に転職する人は、
次の職場で年末調整をしてもらうために必須です。
例えば6月に退職して7月に転職する場合、
前職分の給与と税金を合算して年末調整する必要があります。
源泉徴収票がないと
- 年末調整ができない
- 自分で確定申告する必要が出てくる
という、地味に面倒な事態になります。
② 確定申告に使う(転職しない・年内に再就職しない人)
以下に当てはまる人は確定申告が必要です。
- 年内に再就職しない
- フリーランス・派遣・単発勤務に切り替える
- 失業保険を受給する
- 年末調整をしてくれる会社がない
この確定申告で、
- 払いすぎた所得税が戻ってくる
- 逆に不足分を納める
という精算が行われます。
源泉徴収票がないと正確な申告ができません。
③ 医療費控除・各種控除の計算に使う
- 医療費控除
- 生命保険料控除
- 扶養控除
- 住宅ローン控除(初年度)
これらを使う場合も、
その年の所得額が分からないと計算できません。
源泉徴収票は「控除がいくら使えるか」を判断する基礎資料になります。
④ 金融・行政手続きで求められることがある
意外と見落とされがちですが、
- 保育園の入園申請
- 住宅ローン・賃貸契約
- 各種給付金・補助金申請
などで、収入証明として提出を求められるケースもあります。
特に、
- 退職直後
- 無職期間がある場合
は、源泉徴収票が「収入を証明できる唯一の書類」になることもあります。
大切に保管しておきましょう。
いつ・どうやってもらう?
源泉徴収票は、
退職後原則1か月以内、最終給与の支払い後に発行されることが多く、
手渡しまたは自宅への郵送のどちらかです。
退職時に、
「源泉徴収票はいつ、どこに送られますか?」
と必ず確認しておきましょう。
失くしたらどうなる?
万が一紛失しても、再発行は可能です。
ただし、
- 事務に連絡する必要がある
- 時間がかかる
- 退職後だと連絡しづらい
というデメリットがあります。
退職時点で必ず受け取り、大事に保管しましょう。
□ 雇用保険被保険者証
雇用保険被保険者証は、
あなたが雇用保険に加入していたことを証明する書類です。
小さくて地味な紙ですが、
退職後・転職時・失業保険の手続きで必ず登場します。
雇用保険被保険者証の主な用途は、この2つ。
① 転職先での雇用保険加入手続き
転職すると、新しい職場で再び雇用保険に加入することになります。
その際に必要なのが雇用保険被保険者証です。
これがあることで、
- 過去の雇用保険加入履歴を正確に引き継げる
- 手続きがスムーズに進む
逆に、ない場合は、
- 会社側がハローワークに照会
- 手続きに時間がかかる
- 入社後に追加提出を求められる
といった地味なストレスが発生します。
② 失業保険の申請
退職後、失業保険を申請する場合にも必要です。
ハローワークでは、
- 離職票
- 雇用保険被保険者証
をセットで確認されます。
被保険者証がないと、
- 本人確認に時間がかかる
- 追加書類の提出を求められる
- 初回手続きがその日に完了しない
といったことも珍しくありません。
□ 年金手帳(または基礎年金番号通知書)
退職後年金関連の手続きで必要になるのが、
基礎年金番号です。
以前は「年金手帳」が発行されていましたが、
2022年4月以降は新規発行が廃止され、
現在は「基礎年金番号通知書」が発行されています。
退職時に新しくもらう書類ではないため、
- 手元にあるか
- 番号が分かるか
を事前に確認しておきましょう。
もし紛失していても、
年金事務所で再発行・番号確認が可能です。
□ 健康保険資格喪失証明書
健康保険資格喪失証明書は、
「この人は、◯年◯月◯日で会社の健康保険をやめました」
という事実を証明する書類です。
退職すると、病院の健康保険(協会けんぽ・組合健保など)は退職日の翌日に自動で資格喪失します。
そのあとに行う以下の手続きで必要になるのが、この書類です。
① 国民健康保険に加入するとき
任意継続被保険者制度を使わずに、市区町村の役所で国民健康保険に切り替える際、
- 退職したこと
- いつ健康保険を失ったか
を証明するために提出します。
※ 離職票では代用できない自治体も多いです。
② 家族の扶養に入るとき
配偶者や親の扶養に入る場合も、
「すでに会社の保険を抜けている」
ことを証明するために必要です。
いつ・どうやってもらう?
多くの場合、退職後1週間〜10日程度で離職票などと一緒に郵送されます。
ただし、こちらから頼まないと発行されないケースもあるので、必ず自分から確認しましょう。
【STEP3】退職後すぐにやる手続き(期限あり)
□ 健康保険の切り替え
退職日の翌日から会社の健康保険は使えなくなります。
選択肢は以下の3つです。
- 国民健康保険に加入
- 任意継続被保険者制度を利用
- 家族の扶養に入る
原則、14日以内に手続きが必要です。
何もせず放置すると無保険期間が発生し、
その間の医療費は10割負担になります。
後から無保険期間分の国民保険料を払うことで、
医療費の自己負担分(原則7割)の払い戻しを受けることができます。
その場合は無保険期間中の医療費の領収書を用意し、
国保窓口で「加入前に受診した医療費の還付」を申請する必要があります。
面倒な手続きを増やすことになるので
無保険期間を作らないに越したことはありません。
退職後、最優先でやるべき手続きとして覚えておいてください。
□ 年金の切り替え
- 厚生年金 → 国民年金へ
- こちらも14日以内が目安
手続きをしないと、
未納扱いになり、将来の年金額に影響します。
市区町村役場で国民健康保険の手続きと一緒にするとスムーズです。
□ 失業保険(必要な人のみ)
- ハローワークで申請
- 離職票が必要
- 自己都合か会社都合かで条件が変わる
「すぐ転職しない」「少し休みたい」人は、
必ず確認しておきましょう。
【STEP4】お金まわりで忘れがちなこと
□ 住民税の支払い方法
住民税は前年の所得に対して課税されます。
退職後は、
- 一括請求
- 自分で納付(普通徴収)
になるケースが多く、
思ったより金額が大きくなりがちです。
「こんなに?」とならないために事前に把握しておきましょう。
□ 奨学金の返済手続き
病院奨学金・看護奨学金がある場合、
- 返済開始時期
- 分割できるか
- 一括請求されるか
は必ず確認をしておきましょう。
退職後に突然高額請求され、
貯金がなくなり生活がカツカツになる…なんてことのないように気をつけましょう。
【STEP5】転職する人がやっておくと楽なこと
□ 提出書類をまとめて保管
-
雇用保険被保険者証
-
源泉徴収票
- 看護師免許証(コピー)
これらの書類は転職先に提出する可能性が高いです。
「あれ、どこやったっけ?」と家中を探し回るのは時間と体力を消費するので、
一箇所にまとめておくだけで転職時のストレスが激減します。
まとめ
退職は、心も体も消耗します。
事務手続きまで完璧にやるのは大変ですよね。
でも、
- 書類が届かない
- 保険が切れていた
- お金で損をした
こうしたトラブルは、
ほぼすべて事前に防げるものです。
チェックリスト通りに進めることで、
退職後のリスク・ストレスは大きく減ります。
辞めたあとまで職場に振り回されないために、
このチェックリストがあなたの役に立つと嬉しいです。
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